牧瀬クリニックで使っている軟膏

 

1)MA軟膏

 

ぼくのクリニックでは以上の脱ステロイドの過程をもっと効率よく、かつ安全にするため、白色ワセリンにα-リポ酸、ビタミンB1、B2、B12などを混ぜてつくった独自のMA(0)という軟膏を使っています。白色ワセリンの代わりに、このMA(0)という軟膏を使うと、脱ステロイドがすみやかに行われます。脱ステロイドを可能かぎりはやく安全にできないかと、いろいろと工夫して軟膏を研究していたのですが、特にα-リポ酸とビタミンB12を加えるといい結果がでるのです。α-リポ酸は水溶性でありかつ脂溶性であるというたいへん重宝な抗酸化剤です。またビタミンB12を使った軟膏がイギリスでアトピーにステロイド軟膏と同様に効果があるという研究が発表されたので、それをヒントにしたのです。大きな製薬会社は、ステロイドやタクロリムス(免疫抑制剤:プロトピックの主成分。後で詳述)入りの軟膏の開発ばかりに力を注いでいますが、こういう安全な軟膏の開発にも熱心になってほしいものです。

例えば、あなたがお医者さんから処方されたステロイド軟膏がリンデロンVGであったとすると、MA(0)を使って、7×リンデロンVG+3×MA(0)→ 5×リンデロンVG+5×MA(0)→ 3×リンデロンVG+7×MA(0)→ 10×MA(0)というふうにするのです。単なる白色ワセリンをつかってステロイドの濃度を薄めていく場合より、α-リポ酸やビタミンB12のおかげで、ずっとスムーズにステロイドのランクダウンが可能です。ぜひ、試してください。

また、MA軟膏には、ステロイドの入っていないMA(0)だけでなく、リンデロンVGとMA(0)を混ぜてつくったMA(1)、MA(2)、MA(3)、MA(4)という軟膏もあります。患者さんご自身に、わざわざステロイド軟膏を薄めていく作業の手間をとらさないためです。番号が大きくなるほどリンデロンVGが少なく入っています。

よく、このMAのシリーズをインターネットで注文される方がおられますが、一度でもぼくのクリニックに来られて、診療を受けられたことがあれば、お送りすることはできます。しかし、もし一度も来院されていない場合は、ステロイドの入っていないMA(0)しか送ることができません。ステロイドの入っているMA(1)~MA(4)は、薬事法の関係から診療なしでは送ることができないのです。したがって、遠方にお住まいで、どうしても大阪まで来られないという患者さんには、MA(0)を送り、ご自分の手のひらで他のステロイド軟膏と混ぜて使ってもらうようにしています。もっとも、症状がごく軽いばあいは、MA(0)だけでも十分なときがあります。

 

2)MK(0)

 

以上のMA(0)に使われている白色ワセリンを、サンホワイトP-1というワセリンに変えたものです。その他の主要成分はまったく同じです。サンホワイトP-1は普通の白色ワセリンをさらに精製したたいへん純度の高いワセリンです。プロペトという精製ワセリンよりも高純度で低刺激性です。したがって、MK(0)は、化学物質に非常に敏感になっている肌や、顔面、赤ちゃんの肌、白色ワセリンにさえかぶれる肌、化粧まけしやすい肌などに適しています。

 

3)AOA(0)、Va(0)

 

主成分は大豆、ハトムギ、糠、小麦、柚子、抹茶を混ぜ、遠赤外線焙煎をほどこし、こうじを

加えて発酵させ、胡麻の油で油剤化したものを数ヶ月樽にねかせ、そのうわずみを乾燥させたものです。その粉末を親水ワセリンに混ぜたものです。これもMA(0)と同様に、脱ステロイドのために。ステロイド軟膏と混ぜて使うと、いい結果がでます。

 非常にひどい大豆アレルギーのある人は、AOA(0)でかえってかゆみがます場合があります。200~300人に1人、そういう患者さんがおられます。また、AOA(0)は、ほんの少しざらざらしているので、それがいやだという患者さんもときどきおられます。そのときは、Va(0)という、これも成分はAOA(0)と成分はほぼ同じで、かつステロイドは当然入っておらず、かつ、ざらざらしていない軟膏を使っていただくようにしています。

 

4)再発予防軟膏

 

成分は数種類の植物油、ビタミンB群を親水軟膏に混ぜたものです。白色ワセリンがMA(0)の半分しか入っていませんので、べとつき感がなく、続けやすく、患者さんにたいへん喜ばれています。この軟膏は、症状が非常に軽減して、MA(0)だけでも十分にコントロールできる段階にまで改善されたものの、急にそういった軟膏を止めるには、まだ再発の危険性が残っているような時に使用します。

 

5)再発予防液体軟膏 100mg

 

さらに改善し、再発予防軟膏で十分にコントロールできるようになった段階で、適度な保湿がほしいと感じられる人に、安心して毎日使ってもらえるように工夫されています。セラミドの生成を促す植物生薬の粉末、植物オイル、グリセリンが主成分の乳液タイプの軟膏です。しかし、老人性掻痒症(これといった理由がなくお年寄りが感じるかゆみ)や、特に体毛の多い部分、たとえば腋の下やすねなどには、次の毛芯膏の方が適切です。

 

6)毛芯膏(液体軟膏)200mg

アトピー患者さんは頭皮にも湿疹ができやすいものです。湿疹ができなくても、異常に多いふけやかゆみに悩まされることがしばしばあります。

これらの症状にはフラックス・シード・オイルや、セレン、ビタミンB群をサプリメントから補えばいいのですが、それに柑橘類の抽出エキスや生薬を主成分とするこの「毛芯膏」を使うともっと効果があります。

 

7)貴宮(きく)ビタ軟膏

 

これは白色ワセリンにフラックス・シード・オイル(亜麻仁油)、ビタミンB群、抗ヒスタミンクリームを混ぜた軟膏で、特にかゆみがしつこく残っている患者さんに使っていただいています。

8)モクタール軟膏

それと特筆すべきことは、ゾウやサイの皮膚のように固くごわごわとなってしまった、いわゆる苔癬化という状態にも著効をしめす方法があります。まず最強のランクに属するデルモベートかジフラールといった軟膏4に対し、MA(0)を1ほど混ぜ、それを病変部に塗布します。その上に、亜鉛化軟膏に、赤松や黒松から採ったタールを混ぜてつくったモクタール軟膏という軟膏を重ね塗りします。そして、包帯でまいておくのです(最低1日1回は取り替えて下さい)。免疫抑制剤サイクロスポリンまで服用しても治らなかった苔癬化した皮膚が、2、3週間でものの見事にきれいになってしまいます。是非、試されたらよいでしょう。
  以上に述べた軟膏にはすべてステロイドは入っておりません。したがって、ステロイド恐怖症の人も安心して使えます。しかし、あくまで対症療法にすぎないことを心得ておいてください。これでアトピーが治ると思っては困ります。「軟膏漬け」になってはいけないのです完治させるには、真の原因を解決しなければいけません。では、アトピーの本当の原因とはなんでしょうか?

 

9)ニキビ用軟膏 

 アトピーといっしにできたニキビはけっこうやっかいです -- ?)その他の注意事項15)アトピーと併発したニキビについて ?- をお読みください。抗生物質入りの軟膏で効けばいいのですが、たいていの場合うまくいきません。そこで、このニキビ用軟膏を使ってもらいますが、ビタミンB5を中心としたサプリメントと一緒に使わなければ効果は半減します。主成分は数種類の植物の粉末、遠赤外線を出す石の微粉末、グリセリン、親水軟膏です。

 


*)乾癬用軟膏

乾癬はアトピーとはまったく違った皮膚病です。現代医学では難しいといわれていますが、上手に治療すれば、意外と簡単に治るのです。主成分はMA軟膏とほぼ同じですが、さらに遠赤外線を出す乾癬用のミネラル・パウダーと生薬を付け足しました。最初の段階ではステロイドを入れます。症状に応じてステロイドの量を調節しますので、一人一人のオーダーメードになります。そして、当然、最後にはステロイドなしの軟膏にもっていきます。それとビタミンやサプリメントの正しい使用で乾癬は非常に改善します。この乾癬については、別のところで、詳述します。

 

**)貴宮ビタH軟膏 

このHは、hemorrhoid(痔)の頭文字をとってつけました。アトピーは関係ないのですが、このように多種類軟膏を研究しているときに、「痔」に非常に効果のある軟膏が偶然できたのです。主成分はかゆみ対策の貴宮ビタ軟膏に、さらに抗炎症作用のある植物類のエキスと抗菌作用のある生薬を足したものです。

                     価 格 表

MA(0)・AOA(0)・Va(0)     各 2100円(税込み) 

MK(0)・ニキビ用軟膏・貴宮ビタH軟膏   各 2520円(税込み)

再発予防軟膏・貴宮ビタ軟膏・モクタール軟膏  各 3150円(税込み)

          再発予防液体軟膏100mg

    毛芯膏 200mg                   4200円(税込み)